現役最年長86歳の越後杜氏

【白龍酒造 杜氏】 山川譲(やまかわ ゆずる)

大正13年生まれ。昭和24年、国税庁醸造試験所に入所。
その後、各地で酒造りに携わる。全国新酒鑑評会、関東信越国税局新酒鑑評会で金賞多数。新潟県杜氏会会長などを歴任。
平成2年に「現代の名工」として労働大臣賞受賞、平成7年に「黄綬褒章受章」、平成18年に
「にいがたの名工」受賞。

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“私には、とことんこだわり続けているものがあるんです”

にこやかな笑顔でそう語る山川譲杜氏・・・
その山川杜氏のこだわりを全て注ぎ込んだのが、「特選大吟醸笹屋茂左衛門」です。
この「特選大吟醸笹屋茂左衛門」は、モンドセレクションで既に金賞を12回も受賞しています。
しかし、山川氏を杜氏として迎え入れた後、山川氏は、いわば「完成された酒」を1から見直し、この酒を単なる「金賞」から「最高金賞」を4年連続で受賞するまでに引き上げました。

黄綬褒章を受章し「現代の名工」とまで言われ、越後杜氏の頂点に登りつめたその男が
現役の杜氏として最年長の86歳になった今でも、なお「持ち続けているこだわり」とは何なのか?

それを山川杜氏本人から語って頂きました。

山川杜氏:私が一生涯をかけてこだわり続けているのは「水」。
酒の原料というと「米」を思い出しますが、米ばかりじゃない。
実は「水」が大事なんです。

なにせ、原料の約85%は水でできておりますからね。どんな「水」を使うかは、酒蔵のノウハウだと思います。私は杜氏になったときから、この「水」に魅せられ惚れぬいて、「理想の水」を探し求めてきました。

鉱物成分や有機物が少ないことが大切です。そして硬度が適当な軟水であること。

色々試してみて、やっと自分の水を見つけた。
そ れが、「阿賀の伏流水が湧き出した清水」です。
山川杜氏:「笹屋茂左衛門」は、米も特別に選んでいます。
酒米の王様「山田錦」、そして新潟県が新潟の酒の為に開発した「越淡麗」。
「越淡麗」は新品種の米ですが、数年使ってみて、山田錦に匹敵する素晴らしい米だを確信しました。

その2種類の米を精米歩合極限の38%まで米を削り磨き上げて、米の芯の芯を取り出します。
つまり、62%は取り除いてしまうわけですから、よい日本酒というのは、なんとも贅沢なものですね。

精米歩合が50%以下のものが大吟醸酒ですが、50%と38%の差は大きくて、同じ大吟醸と
言っても酒の風味が全然違う。38%まで削ると、味が本当にきれいで雑味がなく、
甘みも軽い甘みだし、口のすべりがいいんです。

 

山川杜氏:「華やかな香り」があるというのも吟醸酒の条件です。

いわゆる「吟醸香」ですね。
ただ、米の香りだけではあの華やかな吟醸香はでない。
果物のような香りは「酵母」がもっているんです。

同じ原料を使っても蔵によって酒の味が違うのは、この「家付きの酵母」が違うからなんです。

白龍の創業は江戸時代の1839年(天保十年)ですから
約170年以上も蔵で生き続けている酵母がいます。
私ら杜氏にとっては、蔵の神様みたいなもんです。

この「家付きの酵母」の力を引き出してこそ、
酒のうまみがさらに際立ち、
「その蔵にしかできない味と香り」に熟成されていくんです。

私ら杜氏は「酒を造ってます」なんて言いますけれども実は微生物をうまく働かせる「微生物利用工業」なんですよ。

米のでんぷんをブドウ糖にするのは麹の役目、ブドウ糖を酒に変えるのは酵母の役目なんです。

酵素と酵母をうまく働かせて、人間にはとてもできない分解を
してもらうわけですから、その「目には見えない妙なる力」に
感嘆しながら酒造りをしています。

酒造りには科学では解明されていない部分がたくさんあって、機械で味の良し悪しは測れない。
信じるのは自分の経験と勘だけです。

山川杜氏の「こだわり」と「玄人の勘」が最も発揮される「笹屋茂左衛門」の作りは、1月から3月までの厳冬期に行います。
造りが始まると、杜氏をはじめ蔵人たちは総出で作業に入ります。
造りは「100%」手作業です。
機械を使って造る普通酒は一度に20,000リットル仕込みますが、「笹屋茂左衛門」は、その10分の1の量高さ約3mほどの約2,000リットルのタンクで造ります。時間は通常のお酒の2倍の40日かけて造ります。
低温でじっくりと醗酵させることで、時間が雑味を出さないキレイな味わいに仕上がります。

この「笹屋茂左衛門」は吸い口が軽く、うまみがあり、辛口だけれど甘く感じます。甘いといっても砂糖の甘みではないので、いつまでも口の中にべたべたと味が残りません。

喉越しがよく、最後にはパッと消えて、後味がさっぱりしています。
酒の美味しさを表すのに「甘辛ピン」という言葉があります。

酒の五味(甘味、酸味、辛味、苦味、渋味)が調和していて、後味がピリッとしまりキレの良い爽快感のあるお酒のことです。

さらっと飲めて、甘みを感じて、最後の後味がピンとハネがある。
新潟の酒の味わいを究極まで突き詰めた「越後の甘辛ピン」の酒、それがこの「笹屋茂左衛門」です。

 

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